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三菱商事・三井物産・丸紅の株価ー第1四半期決算をふまえて
2021年8月3日(火)の日経平均株価は終値ベースでは前日より139.19円下げ、27,641.83円でした。また、日経平均株価に関して言えば、8月3日は終日に渡り前日の終値ベースを超えることがなく下げ基調の相場展開でした。このような中、三菱商事・三井物産・丸紅の株価はかなり上げました。つまり、大半の銘柄が値を下げている中で、値を上げました。2021年8月3日に公表された上記三社の決算内容が大変好調であり、そのことを投資家が好意的に捉えたとみることができましょう。一般論として、全体が下げ基調の中で株価が上昇する銘柄は、非常に力強い印象を与えます(逆に、全体が株価上昇基調なのに±0円もしくは株価が下がるような銘柄は、保有していて大丈夫だろうかという気にさえなります)。上記三社の内、特に三井物産の株価は前日より169円上げ、2735円(2021年8月3日の株価・終値ベース)となりました。ここ10年では最も高い株価です。
理論的には、企業の決算が好調であると株価もそれに連動するものですが、株式売買は人間が行うものであることから、株式売買ひいては株価形成には人間心理が絡むことは皆様ご存知のことかと存じます。従って、株価の先を読むことはそれ程単純でないこともあります。例えば、既に、決算発表前に好調であることを織り込んで株式市場において株価が形成されることも間々あり、そのような場合には決算時を境に失望売りがなされることも一つの現象として有り得ることです。
私は、今後とも上記三社は一定程度株価が上昇すると予想します。とりわけ、三井物産はかなり上げるような気がします。やはり、三社とも決算内容がかなり好調であること、8月3日の株価形成の過程において全体が下落基調であるにもかかわらず値を上げたという点に力強さを感じることが理由です。上記三社は投資家として安心して投資できる銘柄として考えられているようにも思われます。もちろん、株式に素人の私の不正確な予想の可能性がありますので、上記の予想は話半分として認識して頂き、株式投資におけるご判断は自己責任でお願いします。
本ブログでは、上記三社の決算内容を簡単に紹介し、自分なりの分析ができればと考えています。
三菱商事ー第1四半期決算
既にご存知の通り、三菱商事の第1四半期の業績は好調でした。そのため、2021年8月3日の株価は30円上昇し、終値で3185円になりました。ここ10年の株価を概観すると、2018年秋に到達した3500円になり得るのか否かが気になるところです。
以下、2021年度(2022年3月期)第1四半期の連結純利益・通期の連結純利益をまとめてみました。本年度の第1四半期の業績は、銅・鉄鉱石といった金属資源価格の上昇と自動車関連事業の回復により好調ですが、昨年度がコロナで悪すぎたのであり、2018年度・2019年度のレベルに戻したとみるべきでしょう。2018・2019年度のレベルに戻した努力に敬意を表したいと思います。いずれは、(かつて目指していたと思われる)通期連結純利益1兆円という高みを目指して頂ければとも思います。
1Q 連結純利益 | 通期 連結純利益 | 備考 | |
2018年度 | 2044億円 | 5907億円 | コロナの影響がなかった年度 |
2019年度 | 1612億円 | 5354億円 | コロナの影響が若干あった年度 |
2020年度 | 367億円 | 1726億円 | コロナの影響大の年度 |
2021年度 | 1876億円 | 3800億円 (今後、上昇余地あり) | 本年度 |
三井物産ー第1四半期決算
三井物産は、決算発表前から相当良い数字になるのではないかとの見方が広がっていましたが、その期待を裏切らないものでした。とくに2点に集約されます。第一は、通期連結純利益については4600億円から6400億円に上方修正しました。第二は、会社側が500億円を上限とする自己株式取得並びに4,500万株(消却前の発行済株式総数に対する割合2.7%)の株式消却を公にしました。株主にとっては、会社の純利益が拡大することは喜ばしいことですし、また、自己株式取得及び株式消却は既存の株式の価値を相対的に高めるものであり、理論的には株価上昇をもたらすものです。これまた歓迎すべきことです。
ここ数年の連結純利益を比較したのは下表です。今回の上方修正が大きな意味を有することが分かると思います。上方修正した理由は、鉄鉱石販売価格(いわゆる金属資源価格)の上昇と原油・ガス価格の上昇です。通期連結純利益6400億円(予定)の内、金属資源で4200億円、原油・ガス等のエネルギーで700億円を稼ぎ出す予定で、6400億円の75パーセント強は金属資源・エネルギーで稼ぐことを想定しています。
1Q 連結純利益 | 通期 連結純利益 | 備考 | |
2018年度 | 1184億円 | 4142億円 | コロナの影響がなかった年度 |
2019年度 | 1250億円 | 3915億円 | コロナの影響が若干あった年度 |
2020年度 | 626億円 | 3355億円 | コロナの影響大の年度 |
2021年度 | 1913億円 | 6400億円 (4600億円から上方修正) | 本年度 |
丸紅ー第1四半期決算
丸紅は、2021年度第1四半期の決算内容が好調でした。そのため、株価は40.5円上昇し終値では994.9円となりました。かつて、本ブログで丸紅の株価が1000円に到達するのか否かについて関心を持ってウオッチしておりましたが、勢いがあるので丸紅の株価が1000円を超える可能性は高いとみています(あくまで投資は自己責任で)。
丸紅の好業績の理由は、他2社と同様に金属資源で儲けていることのほか、アグリ事業(農業関連事業)が堅調であるからです。アグリ事業に力を入れ、かなり利益を出していること、金属資源にそこまで注力しているのではないのが特徴でしょうか。
ここ数年の業績は以下の通りです。2019年度に赤字転落したことは経営陣が重く受け止めておられるようですが、今後は堅調にビジネスを展開し、株価も然るべき水準(4桁超え)になるであろうことを期待しております。
1Q 連結純利益 | 通期 連結純利益 | 備考 | |
2018年度 | 868億円 | 2309億円 | コロナの影響がなかった年度 |
2019年度 | 652億円 | 1975億円の赤字 | コロナの営業が若干あった年度 |
2020年度 | 581億円 | 2253億円 | コロナの影響大であった年度 |
2021年度 | 1121億円 | 2300億円(見通し) | 本年度 |
まとめ
2021年8月3日(火)の大手商社(三菱商事、三井物産、丸紅)の決算がかなり好調であることは、大変喜ばしいことです。第1四半期の純利益に4倍したものが通期の純利益になるものではないことには注意が必要かもしれません。また、2020年度がコロナによる重大な影響を受けているので、2020度の数字はいわば非常事態における数字なので、今後比較対象として意味のある数字は2018年度、2019年度の数字であり、その数字を超えることが重要であると感じます。なお、各社とも重要な利益源の一つとして金属資源を当て込んでいるように見えますが、それは鉄鉱石・銅鉱石の販売価格上昇によるものなので、反転して価格が下落基調になるリスクがありますね。とはいえ、そういったことは会社側も織り込んだう上での決算発表だったのでしょう。
今後とも、本ブログではいわゆる五大商社の内の三社に関しては、私が株式保有している関係からチェックし、情報発信をしていきたいと考えています。
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