丸紅 「DX認定取得事業者」に選定

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DX(デジタルトランスフォーメーション)認定取得事業者に選定

 五大商社の一つである丸紅株式会社は、令和3年7月8日付で「DX認定取得事業者」に選定されたこと、翌日の7月9日付で他の2社とともに働く女性の健康課題改善をサポートする総合的なプログラムの共同開発に関する業務提携について、経産省「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」に採択されたことを、丸紅HPにて公表しました。

 いずれも、先進的な取り組みであり、中長期的な企業価値向上に資することを期待致します。短期的に見ても株価へのよい意味での影響があることをも期待したいところです。上記の2つはいずれも重要な内容ですが、特に、前者のDX(デジタルトランスフォーメーション)については、今後の日本社会・企業に大きな影響を与える可能性が多分にある内容だけに注目したいと考えています。

 とりわけ、国と東証が選定する「DX銘柄」となるためには、DX認定取得事業者に選定されていることが必須とされているようですので、今回のニュースは希望をもてるニュースであることが分かるかと思います。今般、丸紅が経済産業省が定めるDX認定制度に基づき、2021年7月1日に「DX認定取得事業者」に選定(丸紅HPでの公表は2021年7月8日)されたことを受け、本ブログではDX銘柄、DX認定制度を概観し、最後に株価に触れます。

DX銘柄選定(国・東証)

 株主・投資家として見逃せないのは、経済産業省は、東京証券取引所と共同で「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」を選定しているということです。2020年度からの取組です。

 2020年8月25日、経産省と国は「DX銘柄2020」選定企業35社と「DX注目企業2020」21社を発表しました。また、企業のDXに向けた取組を強く推進するため、銘柄選定企業の中から”デジタル時代を先導する企業”として、2社を「DXグランプリ2020」として発表しました。更に、2021年6月7日、「DX銘柄2021」選定企業28社(その内2社は昨年同様にDXグランプリ)及び「DX注目企業」20社を発表しました。これらの企業は、デジタル技術を前提としたビジネスモデルそのものの変革・経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業とされ、デジタル技術を最大限に活用した活躍が期待されるものです。

 かねて2015年から2019年にかけて、経産省と東証は「攻めのIT経営銘柄」を選定しておりましたが、2020年度以降、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性に鑑み、端的にDX銘柄として選定しています。2015年度~2019年度までに選定された企業が2020年に選定されることもありますし、そうでもないこともあります。以下、具体的に2020年、2021年に選定された具体的な銘柄を紹介します。

 このような取り組みを経産省・東証が行っている背景として、我が国では極めて重要であることが認識されつつも全般的に見るとまだまだDXへの取組が遅れているという現状があります。そのため、DX銘柄にはある種の希少性があることは確かです。今から注目しておくべき指標と個人的には理解しています。

DX銘柄2021(28社)等の紹介

1.DXグランプリ2021(2社)                                   DX銘柄2021選定企業28社の内、特に優れた取組を行った企業として以下の2社が選定されています。以下、企業名(業種、証券コード)を示します。

企業名業種証券コード
日立製作所電気機器6501
SREホールディングス 不動産業2980

2.DX銘柄2021(26社、グランプリの2社を除く)                                    デジタル技術を前提として、ビジネスモデル等を抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていくDXに取り組む企業を、DX銘柄として選定しました。上記のDXプランプリ(2社)は除きます。以下、企業名(業種、証券コード)を示します。2020年度と重複している企業と2021年度にはじめて選定された企業が存在します。                                        

企業名業種証券コード
清水建設建設業1803
アサヒグループホールディングス 食料品2502
旭化成化学3407
中外製薬医薬品4519
出光興産石油・石炭製品5019
ブリヂストン ゴム製品5108
JFEホールディングス鉄鋼業5411
小松製作所機械6301
日本電気電気機器6701
ヤマハ発動機輸送用機器7272
トプコン精密機器7732
凸版印刷その他製品7911
東日本旅客鉄道陸運業9020
SGホールディングス陸運業9143
日本郵船海運業9101
日本航空空運業9201
ソフトバンク情報・通信業9434
トラスコ中山卸売業9830
セブン&アイ・ホールディングス 小売業3382
日本瓦斯小売業8174
りそなホールディングス 銀行業8308
東海東京フィナンシャル・ホールディングス 証券・商品先物取引業8616
MS&ADインシュアランスグループホールディングス 保険業8725
東京センチュリー その他金融業8439
GA technologies 不動産業3491
ベネッセホールディングス サービス業9783

                                                                                                      3.DX注目企業2021(20社)                                      DX銘柄に選定されていない企業の中から、特に企業価値貢献部分において、注目されるべき取組を実施している企業がDX注目企業として選定されています。                              

企業名業種証券コード
日清食品ホールディングス 食料品2897
ワコールホールディングス繊維製品3591
ユニ・チャーム化学8113
大日本住友製薬  医薬品4506
AGCガラス・土石製品5201
三菱重工機械7011
富士通電気機器6702
大阪瓦斯電気・瓦斯業9532
ANAホールディングス空運業9202
日本電信電話情報通信業9432
三井物産卸売業(商社)8031
住友商事卸売業(商社)8053
Hamee小売業3134
三井住友フィナンシャルグループ 銀行業8316
大和証券グループ本社 証券・商品先物取引業8601
SBIインシュアランスグループ 保険業7326
SOMPOホールディングス保険業8630
リコーリースその他金融業8566
三菱地所不動産業8802
ユナイテッドサービス業2497

DX銘柄2020(35社)等の紹介

1.DX銘柄2020グランプリ(2社)                                                                           

企業名業種証券コード
小松製作所機械6301
トラスコ中山卸売業9830

2.DX銘柄2020(33社、上記グランプリの2社を除く)              

企業名業種証券コード
鹿島建設建設業1812
ダイダン建設業1980
アサヒグループホールディングス 食料品2502
日清食品ホールディングス 食料品2897
東レ繊維製品3402
富士フイルムホールディングス 化学4901
ユニ・チャーム化学8113
中外製薬医薬品4519
ENEOSホールディングス 石油・石炭製品5020
ブリヂストン ゴム製品5108
AGC ガラス・土石製品5201
JFEホールディングス鉄鋼業5411
小松製作所機械6301
ダイキン工業機械6367
コニカミノルタ電気機器4902
富士通電気機器6702
ヤマハ発動機輸送用機器7272
トプコン精密機器7732
大日本印刷その他製品7912
東京ガス電気・ガス業9531
東日本旅客鉄道陸運業9020
Zホールディングス情報・通信業4689
エヌ・ティ・ティ・データ 情報・通信業9613
住友商事卸売業8053
トラスコ中山卸売業9830
Hamee小売業3134
日本瓦斯小売業8174
りそなホールディングス銀行業8308
大和証券グループ本社 証券・商品先物取引業8601
SOMPOホールディングス 保険業8630
東京センチュリーその他金融業8439
GA technologies 不動産業3491
三菱地所不動産業8802
ディー・エヌ・エー サービス業2432
セコムサービス業9735

3.DX注目企業2020                                    

企業名業種証券コード
サッポロホールディングス食料品2501
帝人繊維製品3401
三菱ケミカルホールディングス化学4188
花王化学4452
大日本住友製薬医薬品4506
THK機械6481
IHI機械7013
日本電気電気機器6701
カシオ計算機電気機器6952
川崎重工業輸送用機器7012
SGホールディングス陸運業9143
野村総合研究所情報・通信業4307
伊藤忠テクノソリューションズ 情報・通信業4739
PALTAC卸売業8283
ワタミ小売業7522
丸井グループ小売業8252
三井住友フィナンシャルグループ銀行業8316
ふくおかフィナンシャルグループ 銀行業8354
東海東京フィナンシャル・ホールディングス 証券・商品先物取引業8616
MS&ADインシュアランスグループホールディングス保険業8725
応用地質株式会社サービス業9755

DX認定制度

 今般、丸紅株式会社が取得したDX認定制度ですが、そもそもDX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度であり、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が、本制度に関わる「DX認定制度事務局」として各種相談・問合せ・認定審査事務を行っています(経産省HP参照)。そして、既に2020年12月にDX認定制度に基づき認定事業者が登場するに至っています。2021年7月段階で、認定事業者総数は141件に上ります。

 DX銘柄とDX認定制度との関係については、DX銘柄が東証上場銘柄に限定されているのに対し、DX認定制度の対象は全事業所とされていることから後者の方が対象が広いことは歴然としています。本来的には別の制度のように見えますが、DX銘柄2021選定の段階からDX認定であることが必要となっています。今後は、DX認定事業者の中からDX銘柄を選定するであろうことが推測されるところです。

 また、既に税制面において、経産省は令和4年度末までの間、DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対し、税額控除(5%/3%)又は特別償却30%を措置することを公にしているところ、これらの措置を受けるためにはいくつかの要件(デジタル要件と企業変革要件の2つ)を満たすことが必要で、特に、デジタル要件としてはDX認定の取得が求められています(詳細は経産省HP参照)。

株価動向

 丸紅の株価は2021年6月4日(金)において待望の1000円超えを成し遂げたところですが、その後、直近の終値ベースで1000円超だったのは6月16日(水)が最後であり、高値ベースでも1000円超だったのは6月28日(月)が最後でした(2021年7月12日午前7時現在)。6月28日以降は1000円に戻ることはなくじりじりと値を下げ、とうとう2021年7月9日(金)の終値では950円を割り込み946.3円となりました。

 週明けの2021年7月12日(月)の相場がどうなるのか、誰にも予想はできないところかとは思いますが、ここ1週間で更に値を下げ900円を割り込むようだと、1000円への回復には時間がかかるようにも思えます。ただ、この水準だと売るにしても買うにしても中途半端な水準であり、買増しするには高いし、売るには少し安いかなという難しいところです。個人投資家は、鬼ホールド(保有し続けること)できるのが機関さんと違う特色であり、かつ、強みですので、株価の大まかな水準を押さえつつも一日の株価の上げ下げで一喜一憂しないことの大切さを再認識します。もちろん、これは個人的な意見ですので、投資家の皆様は自己判断でよろしくお願い致します。

 なお、丸紅についてはかつて言及したことがあります。以下をご参照下さい。初めに示すものが総会前、次に示すものが総会後のものです。                            株主総会招集通知(丸紅)   (総会前)

丸紅 株主レポート「まるべに」  (総会後)                                 

 上記に紹介する書籍は、いわゆる仮装通貨即ち暗号資産(ビットコイン、イーサリアム等)に関する書籍です。どうすれば儲けられるのかというノウハウ本ではありませんが、暗号資産に通暁した弁護士が暗号資産の実態をふまえた上で制度全体について詳しく解説する書物です。暗号資産への投資を検討されている方がおられましたら、投資を斡旋するのとは異なる立場から書かれた書物を読まれてから投資対象とすべきか否かを検討されてもよいかもしれません。

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