研究資料の検索

研究・教育
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研究資料を探し出すために

 昨日、図書館における相互利用を活用しようと申し上げました。本日は、現代社会に生きる私たちが日頃利用しているインターネット空間において、どのような学術資料もしくは学術資料入手のための手がかりを得ることができるのかについて情報発信したいと思います。とりわけ、本格的に論文を執筆する、レポート課題に真剣に取り組み際、社会科学系においては文献入手が重要になってきます。専門分野に特化した学術データベースなどは特に有難く感じる方もおられるでしょう。

 ここでは、どのような専門・論文が存在するのか、また、存在するとしてどこに存在するのかを探す方法、早い段階で存在するのか否かをチェックする方法を中心に情報提供します。

 具体的に自分にとって必要な論文の題名・掲載誌・執筆者が分かり、どこに存在しているのかが分かれば、自分の利用できる図書館に論文が存在すれば図書館で入手できることでしょう。存在しなければ、昨日紹介した図書館相互利用を利活用して論文を入手することになります。また、最近では、インターネットにて論文がPDF化されたものを入手することが可能になっている場合も多いのは有難いことです。特に、大学が出している学術雑誌の大半は、大手の国公私立大学であればまず電子化されていてインターネットで論文を読むことができます。ただ、本や一部の学術雑誌に関しては電子化されていないものも一定数ありますので、すべての資料収集をインターネットで行うのには現段階では無理があるように思います。

国立国会図書館オンライン(NDL ONLINE)

 国立国会図書館には、日本で出版されるほぼすべての本・論文が集まっています。といいますのも、本・雑誌などを出版した場合、国立国会図書館への納本義務があり多くの本・(論文を掲載された)雑誌が国立国会図書館に収められているからです。そのため、国立国会図書館に所蔵はないものの他の図書館等で所蔵している学術専門書(本)や学術誌(雑誌)というのは非常に少ないともいえます。そこで、まずは必要な本・論文が存在するのか否かを検索する方法として、国立国会図書館オンライン(略称:NDL ONLINE)で検索するとよいでしょう。特に、テーマが完全に絞り込めていない場合、どれくらいの本や論文が存在するのかをざっくりと把握するときに有益です。また、本や論文に関する詳細なデータを知ることができるという点においても国立国会図書館オンライン(NDL ONLINE)は有難く感じます。

 そして、国立国会図書館においては基本的にはリアルな図書館利用も可能ですし、遠隔複写サービスを実施しており、皆様が利用者登録を行うことにより国立国会図書館に足を運ぶことなく自分の希望する文献の複写申込・郵送もしくは宅配便での複写(コピー)を受け取ることができます(遠隔複写サービス利用にはお金が要りますのでご注意を)。

国立情報学研究所 CIINII(サイニ―)

 次に紹介するのは、国立情報学研究所が運営している「CIINII(サイニ―)」です。国会図書館の場合、学術系以外の本・雑誌でもヒットすることがありますが、CIINIIは学術限定とみてよいかと思います。CIINIIは、論文検索、大学図書館に所蔵のある本・雑誌の検索、博士論文の検索の3つの機能があります。

 とりわけ、私が重宝したのは大学図書館に所蔵のある本・雑誌の検索です。自分の大学に所蔵がない本・雑誌が他大学に所蔵があるのか否か、所蔵があるとしてどの大学に所蔵があるのかという点が分かるので相互利用の申し込みの際に有益でした。場合によれば大学図書館にはどこにも所蔵がないというケースもありました。私の経験では、他大学の図書館に所蔵されている場合であれば、本・雑誌は相互利用はまず可能なのですが、大学付属の研究所等に所蔵がある場合における相互利用はケースバイケース、研究室所蔵になっている場合その大学の先生が研究費で購入したと思われるものなので、相互利用は期待しない方が良い(可能になるケースは稀)かと思います。ここら辺の情報を入手した上で図書館の相互利用担当窓口に行くと担当者の手数を増やすだけですし、こちらが納得のいく対応を取ってもらえないことも有り得ます。

 その他、論文検索は国会図書館よりも見やすいように思います。博士論文の検索が可能である点は魅力です。国会図書館でも検索可能ですが、博士論文単独での検索が可能なので、専門が同じもしくは近い分野でどの程度の数の博士論文が書かれているのか、どのような方が執筆されているのか、年代的にはいつごろに書かれたものなのか等を知ることができます。なお、博士論文にはかなり以前から納本義務がありまして、国立国会図書館に所蔵されています。

 また、後日詳しく洋書に情報発信したいと考えていますが、洋書については相互利用への依存度が格段に上昇します。そして、洋書に関しては相互利用担当者も詳しくない場合が多かったと記憶しています。そのため、洋書や洋雑誌の相互利用を希望する場合、希望者がきちっと情報を収集した上で窓口に赴く必要性があります。その際には、CIINIIの大学図書館に所蔵のある本・雑誌の検索は大変心強く感じました。

国立研究開発法人科学技術振興機構 researchmap  

 上記の2つの手法で、現段階で図書館に所蔵のある本や論文の存在をしることは可能です。しかしながら、人間が行う検索なので検索漏れがあることも否定はできません。また、本や雑誌が公にされて検索サイトでヒットするまでには一定の時間がかかります、タイムラグがあります。これらの点を補強するものとして、専門分野や専門用語での検索ではなく執筆者での検索、つまり、研究者個人にスポットをあてた検索をする必要があります。

 最近では、大学教員が個人でブログ・HPを開設している場合がありそこで自分の論文等の概要を公開している場合があります、また、大学HPで大学教員の研究業績が公開されることがほぼ必須化されました。そして、大学HPでの大学教員の研究業績内容は、最近ではかなりの確率において国立研究開発法人科学技術振興機構が運営している、researchmap(リサーチマップ)と紐づけされている可能性が高いこと、リサーチマップは研究者個人が研究業績内容を更新できるので、国会図書館やCIINIIの検索には出てこないものの最新の論文が発表されたことをリサーチマップで知ることができます。そして、リサーチマップは同様の研究をしている研究者としてどのような方がおられるのかも知ることができます。

 また、研究面で連絡が取りたい研究者がいるようでしたら、リサーチマップが仲介する形で質問・要望を出すことができます(もちろん、返事があるか否か、質問・要望が叶えられるか否かはケースバイケースであることは十分意識すべきことです)。例えば、リサーチマップで発見した最新論文をいち早く読みたいもののどこを探しても入手できない場合、執筆者の研究者に連絡してお願いするという方法も最終的手段として有り得ます。私もかつて数人の研究者から連絡があり対応したことを思い出します。

以上、何らかのご参考になれば幸いです。

 

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