大学での居場所

研究・教育
David MarkによるPixabayからの画像

5月になりました

 5月になりました。本年4月に大学に入学された学生さん、大学生活には慣れましたでしょうか。大学に入学後、自分の居場所みたいなところが見つかれば、その居場所を拠点に自分のしたいことをどんどんと展開することができることでしょう。逆に、自分の居場所がなかなか見つからなければ、目先の講義、課題、試験に追われ、時間だけが過ぎ去ってしまい卒業の時に後悔する方も一定数おられます。

 自分の居場所をどのようみ見出すのか、ということは大学生活を充実させるという観点からも重要ですが、特に、大学院進学希望があり可能であれば研究者(大学教員)になりたいという方にとっては大変重要なことです。また、大学院に進学した院生にとっても大学内で落ち着いて研究できる場所を見つけることができるのか否かにより、論文執筆への意欲・進捗度合いに大きな影響を与えます。大学院生以降では、このことを研究環境の良し悪しという点で語られることが多いように感じます。

 本日は、あまり語られないけれども自分の居場所をどこに見出すのか、について情報発信します。

居場所

 理系の学生であれば、卒業研究・卒業論文で配属される研究室が自分の居場所であることが理想で、場合によれば自分の机を与えられることもあるでしょう。そうでないにしても、研究室に毎日通うことを咎められることなどないでしょう。

 問題なのは私が専攻する社会科学系の学生の場合、大学で自分の居場所を見出すことは意外に大変なことです。といいますのも、多くの私立大文系は(場合によれば国立大文系でも)学生を大量に入学させており、個々の学生が学内で有意義な活動をできるだけの施設を用意することが容量的に不可能であるという面があるからです。

学部生

 学部生の場合、学生数が多いので居場所を確保するのは想像以上に大変なことです。居場所として考えられるものとして3つ提示ます。

 第一は、サークルの部室です。自分にとってサークル活動が性に合っていて、毎日でもサークルの部室に行きたい、というような場合は自分の居場所を見出したことになりましょう。但し、サークルの部屋はみんなの部屋なので出入りも多く、集中して勉学に取り組むには不適切である場合もあるでしょう。第二は、図書館です。図書館には想像以上に多くの文献が所蔵されており知的好奇心を刺激する多くの文献があることでしょう。図書館に籠って勉強することが自分に合っていると考えておられるのならば、自分の居場所を見出したことになるでしょう。但し、私の経験では、図書館は時期的にやたらに人に増減があり(試験前には猛烈な混雑ぶり)、おしゃべりする非常識な学生も散見される等不快な思いをすることもあるので、図書館があまり好きになれない方もおられるでしょう。第三に、(私立大に限定されると思われますが)国家試験や公務員試験を考えている学生のための専用の自習室(研究室と称している場合もあるようです)を大学が用意している場合があります。この場合、自分の机が与えられ、人数も限定されていますので、まさにじっくりと自分の勉強を深めることが可能になるでしょう。同様の考えに基づき、国家試験や公務員試験の予備校の自習室を利用することも考えられます。志を同じくした人同志ですので、密な人間関係を構築することも可能でしょう。但し、(大学の)自習室・研究室に入るには試験に合格する必要があり、その試験がいつ実施されるのか、掲示板や種々の情報に耳を澄ましていないと、知らぬ間に試験が実施されていたということになります。国家試験や公務員試験の勉強を早い段階から行っていた学生さんは、その後、大学院に進学することも多いので例として示しました。

院生

 院生にとっては、修士論文を執筆することが当面の大きな目標でしょうし、ドクター進学後は自力で論文を執筆し、大学教員のポストを獲得していく必要があります。つまり、論文執筆にとって適切な環境があるのか否かで、雲泥の差が生じます。

 通常の大学院であれば、院生研究室が与えられるでしょう。ただ、その実態は大学により千差万別で特にマスターの頃には大部屋で自分の机さえないという劣悪な研究環境の場合も有り得ます(往々にして院生を大量に入学させているところはそうなりがちです)。他方、地方国立大学はマスターの頃から一人に一つの机が与えられ、院生研究室が教員研究室と同じフロアに存在することもあります。

 院生研究室の環境が劣悪である場合、自宅で論文を書く方もおられます。その方が能率が良いというのであれば止めませんが、研究者を志望する院生であれば大学を拠点に勉学を勧めた方が良いでしょう。というのも、院生・教員とも行動する範囲は重なっており、図書館・書店・食堂・教室などで教員と顔を合わせることが多いのです。その際、教員の側は院生の〇〇君だな、として存在を認識してくれます。存在を認識してくれるだけですぐに何かをしてくれる訳ではないのですが、後々、若手の非常勤講師先を斡旋する先に真っ先に名前が出て来るのは存在を認識している院生です。また、研究会での報告においても存在を認識している院生が優先されるように思えます。ポストそのものを斡旋してもらえる時代ではないですが、存在を認識してもらい何らかの人間関係があれば何かと相談にも乗ってくれます(指導教授でなければ無責任なものですから、かなり実態に近いところまで喋ってくれる先生は結構います)。というように、将来を考えれば、院生は大学を拠点に勉学することをお勧めします。

 以上、ご参考まで。

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