三菱商事ー米ドル建無担保普通社債発行

投資
Gerd AltmannによるPixabayからの画像

社債発行

 三菱商事のHPに、本日(7月9日付)で「米ドル建無担保普通社債発行に関するお知らせ」がUPされていました。既にご存知の方もおられることでしょう。幅広い投資家層を有する海外市場へのアクセスを確立し、資金調達基盤の多様化および拡充を図ることが目的のようです。資金の用途は具体的には書かれていませんが、何かの事業用であることだけは確かなようです。概要は以下の通りです。

1.  社債総額        :     5億米ドル
2.  利率               :     年1.125%
3.  年限               :     5年
4.  償還期日        :    2026年7月15日
5.  発行日            :    2021年7月15日
6.  募集の方法     :    米国、欧州、アジアを中心とする海外市場における募集
(ただし、米国においては1933年米国証券法に基づくルール144Aに従った適格機関投資家(かつ1940年米国投資会社法における適格購入者)に対する販売のみ)
7. 上場市場         :     シンガポール証券取引所
8. 取得格付         :     A (S&P)、A2 (Moody’s)
9. 資金使途         :     一般事業資金に充当予定                         (以上、三菱商事HPより:なお、本ブログは上記社債の購入を勧めるものでも否定するものでもなく、一株主として、社債発行を分析しているに過ぎません)

社債とは

 既にご存知の方も多いかと思いますが、企業の伝統的な資金調達手法として株式発行(=新株発行)、社債発行、銀行からの借り入れが挙げられます。上記以外でも自社の有する売掛代金債権を担保(譲渡担保)とし借り入れる等、これまでにない手法が開発されており、今後も企業の資金調達のための様々な手法の開発がなされていくことでしょう。では、社債発行のメリットは、どこに求められるのでしょうか。次のように理解することができます。

 まず、株式(新株発行)と比較すると会社経営に口をはさむ議決権を与える必要がないこと、新株発行だと株式総数が増加し既存株式からすると株式の価値が希薄化する懸念があること(株式総数が増加すると株価も上がりにくくなるという面もありますから)でしょう。(なお、転換社債という、元々は社債なんだけれど後日になれば株式に転換されるという摩訶不思議なものもありますが今回はそういうものではなく純然たる社債のようです)

 また、銀行からの借り入れと比較すると、金利面(特にここが大きいですね)・貸付上限・返済期限等どうしても銀行優位になることからすると、社債発行はこれらの点が社債発行側(お金を融通してもらう側)が決定でき、特に、中長期的なビジネス展開を前提とすると、支払期限を自ら設定できる点はじっくりビジネスに取り組めるため有利です。

社債発行が与える株価への影響

 社債発行が株価に与える影響はプラス・マイナス両面があります。会社にとって利益になるような社債発行であれば株価は上昇しますし、そうでなければ下落します。両方の可能性があるといえましょう。つまり、会社にとって良い社債発行である、と市場がみなすのか否かで株価に影響を及ぼす可能性があります。とはいえ、株価は複合的な要因に基づき形成されるものだけに、社債発行がどの程度の影響を与えるのかは未知数という面もあります。

 直近の株価ですが、市場全体が上昇基調とは言い難い展開(令和3年7月9日の後場)ですので、本件が与える影響は本日の段階ではなかったように思えます。週明けにあるのかもしれませんが、ないのかもしれません。個人的には、社債発行がプラスとして市場に評価されることを期待していますが。

 なお、本記事では特定銘柄の株価につき予想みたいなことをしていますが、あくまで個人的なつぶやき程度のものです。それ故、この記事を信用して損害を被られたとしてもどうすることもできませんので、十分に気を付けて下さい。株式投資は自己責任ですから。

 上記に紹介する書籍は、東証一部上場企業(2000社以上)が開示した役員報酬の水準・内容を各社毎の一覧表で確認できるものです。種々の観点からの分析もなされています。また、執筆者にメール連絡すると、別途資料が送られてくる可能性があるようです。ファンダメンタル分析も重要ですが、役員報酬は企業業績に直結するものです。役員報酬が高いところは概ね配当も高いように思えます。視点を変えた、独自の分析をするには有益な資料かと思い紹介しました。本書は2021年6月に出版されました。

 なお、本記事の数日前に、三菱商事の株主通信(総会後に送られてくる冊子)の紹介並びに自分なりの分析をしました。もしよろしければ、ご参照まで。URLは以下です。                       https://www.syagakuken.com/mitsubishicorp-soukaigo2021/

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