日本コークス工業 株式関係重要書類到着

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株主総会関係の話題

 令和3年6月29日(火)、日本コークス工業株式会社(旧三井鉱山)・第18期(2021年3月期)の株主総会が終了し、昨日、株式関係重要書類が到着しました。日本コークス工業は三井鉱山時代から株式を保有していることもあり、私は注目したい(今後を期待したい)銘柄と考えています。

 ごく簡単に、令和3年6月29日の株主総会での議案(第1号議案~第4号議案)の決議結果を「第18回定時株主総会の議決権行使結果に係る臨時報告書」(令和3年7月1日に関東財務局長宛に提出された書類)をもとに振り返ります。

第1号議案 剰余金の処分の件 賛成2,271,813個 反対4,627個  賛成率99.66%         第2号議案 取締役1名選任の件   賛成2,251,687個 反対24,756個  賛成率98.78%         第3号議案 監査役1名選任の件 賛成1,850,162個 反対426,303個 賛成率81.16%        第4号議案 補欠監査役1名選任の件 賛成1,873,394個 反対403,074個 賛成率82.18%

上記の通り、議案は全て会社提案の原案通りに可決されました。但し、第3号議案と第4号議案に関しては、同様に人事案件である第2号議案の取締役選任の賛成率が高いことからすれば2割弱の反対票があることが大変目立ちます。会社側には2割弱の反対票が投ぜられたことを重く受け止め、なぜこのような結果になったのかを十分に考えて頂きたいと、株主として強く思うところです。

日本コークス工業と日本製鉄(旧新日鐵住金)・住友商事との関係

 かつて三井財閥の一角を担う有力企業であり、三井鉱山と称していましたが、経営危機に直面し、その後はコークスを中心とする企業として再生を果たし、現在に至っています。その際、社名を日本コークス工業に変更するとともに、日本製鉄(旧新日鐵住金)・住友商事と密接な関係を有するに至っています。上記2社との関係は、日本コークス工業の経営に関する重要事項であるだけに、株主(今後投資を考えている投資家諸氏)にとっては強い関心を有する事項と思われます。そこで、会社が令和3年6月30日に公表した「支配株主等に関する事項について」をベースに両者との関係を紹介致します。

 日本コークス工業株の筆頭株主は日本製鉄で、同社は6562万8595株を保有しています、持株比率は22.55%です。次は住友商事で、同社は5655万8095株を保有しています、持株比率は19.43%です(令和3年3月31日現在)。

 会社側は影響の最も大きい会社として筆頭株主の日本製鉄を挙げています。その理由は、筆頭株主であることの他、同社による役員の派遣(転籍 1 名、兼任 1 名)による人的交流も多く、かつ主要な取引先に該当するためと説明されています。

 また、日本コークス工業と日本製鉄・住友商事との関係については、(2021 年3月 31 日現在)において、3社間で業務提携を共同で推進するため、次の2つの内容を骨子とする協定を締結し、相互にシナジー効果を最大限に発揮すべく緊密な協力関係を構築しています。第一は、日本製鉄に対する日本コークス工業製の安定供給、操業技術や人材育成等に関わる情報交換、資材、用役、工事要員等の相互融通であり、第二は、住友商事の販売網活用による当社コークスの販売支援、同社の原料調達網活用による当社の原料炭(主に製鉄用)・一般炭(主に電力用)の調達力強化です。

 このように日本製鉄および住友商事は当社の主要な取引先であり、業績は両社の動向に影響を受けますが、両社からの事業上の制約はなく、当社の意思決定は当社独自の判断で行っており、独立性は確保されていると認識している、との結論を導いています。

 なお、具体的に数字で見ると、筆頭株主である日本製鉄との関係では、製品等の販売に関する取引金額(おそらく販売代金)が87億5400万円、原材料の仕入れに関する取引金額(おそらく購入代金)が10億6200万円になります。

配当金 4円(昨年より3円増配)、来期も4円(予定)

 日本コークスの配当政策は期末のみで、2021年3月期は4円配当でした。日本コークス工業に社名変更して以降、(私の記憶する限り)最高の配当金です。連結経常利益が65億円弱、というここ数年ではかなり業績の良い年度ですので(但し純利益は40億円弱で2018年3月期よりは少な目)、有難いと思っております。

 その理由は、「第18期 株主の皆様へ」1頁(社長の挨拶)にあるように、主力のコークス販売において販売価格がコロナの影響で下落しつつも(そのため売り上げは879億円弱と前期比18.2%減)、原料炭市況下落、製造原価削減の効果が大きかったと見るべきでしょう。

 会社側は、来期(2022年3月期)における配当金は本年と同水準の4円を予定しています(2021年5月14日付・決算短信より)。大変に希望の持てる数字であると考えられます。来期、更なる企業価値の向上に向けての代表取締役・取締役諸氏の尽力を大いに期待致しています。

「株主の皆様へ」から

 送られてきた「第18期 株主の皆様へ」を概観して気になった点(良い面、悪い面含め)は以下の通りです。

 第一は、当社はコークス事業が売上高の63.7%を占め、コークスを用いる鉄鋼業が堅調であることには安心したいですが、中長期的にコークスを用いない製鉄方法が模索されている点は若干の危機感を有するところです。これに対しては、社長も認識しており、コークスの安定的な需要先の確保、ひいては多面的な利益構造をもつ企業体への転換を課題としている点、好意的に受け止めたいと考えます。第二は、政府が打ち出した2050年・カーボンニュートラル宣言をうけての取り組みが7頁に記載されています。この取り組みは評価したいですが、当社の存続を左右しかねない宣言だけに抜本的な経営戦略の練り直しが必要であることをあらためて感じさせられます、同様に、9頁のひびきコールセンターヤード拡張も本来であれば大いに歓迎したい内容ですが政府の宣言をふまえると手放しで喜べないという面もあります、第三に、株主アンケート回答の御礼が記載されていましたが、アンケートに答えたのが340名とのこと、株主数が26748名、個人株主が27.93%を占める現状からすると意外に少なく感じました。日本コークスの事業や今後の展開に関心が薄い株主が多いのか、アンケートのやり方に何か問題があったのか分かりかねるところです(もし前者なら残念なことですし、後者な改善が必要です)。

 なお、カーボンニュートラルについては、以下の書籍をご参照下さい。

(補足)                                          先日執筆した「株主総会招集通知(日本コークス工業、旧三井鉱山)」も参考になるかもしれません。よろしければ、以下をご覧ください。                             株主総会招集通知(日本コークス工業、旧三井鉱山)

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