レジュメと論文

研究・教育
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レジュメ・報告(プレゼン)・論文

 学生・院生はもとより社会人の皆様も、ゼミ報告・院での報告・内外でのプレゼンにおいて、口頭では十分に伝えきることができないことから、レジュメを配布することもあろうかと思います。パワポしか使わないよという方はパワポ≒レジュメと考えて頂ければと思います。

 かつて、論文をどういう風に書いていけばいいのか分からないという質問を受けたことがあります。その際に私は、平素の報告用のレジュメをより詳しくしたものが論文(質問者は修士論文で悩んでおられました)だと考えればいいのではと答えました。本日は、レジュメと論文(特に修士論文)の関係、つまり、理想的な報告とはどのようなもので、それが論文とどう関係するのかについて焦点をあて深堀致します。

レジュメ

 レジュメのイメージですが、本来であれば報告・プレゼンする内容の項目だけを書いているものと理解されていました。パワポは文字数を増やすにしても限界があるので、今でも重要項目や特に注意すべき点に絞り込むことでしょう。

 しかしながら、良し悪しは別として、ゼミ(学部)、講義・演習(院)、プレゼンで配布されるレジュメはそれなりに詳細なものであることが多いでしょう。完成した論文ほどではないにしても、項目だけのレジュメと完成した論文の中間に位置付けることができる程度に内容面の記述があることが多いでしょう。

理想的な報告 導入→展開→整理(再び)

 そして、報告のレジュメや報告の仕方には一定の型があることに気付かれることと思います。すべてが同じとは申しませんが、概ね、導入→展開→整理、といった形で展開されていることが多いでしょう。導入・展開・整理とはかつて本ブログの教職課程のところで触れたもので、元々は小中高の教諭が授業展開を事前に考えておく講義案(授業案、教案とも言う)において使用される用語で、現実の授業展開も同様になされます。そして、報告とは報告者が一定時間を与えられて授業をするようなものですので、小中高における授業展開方法を借用しても問題ないでしょう。

 まず、導入です。冒頭において、なぜ、本日この報告をするのか、報告する意義はどこになるのかを端的に示し、場合によれば、社会的に注目されている事象をも指摘し、聴講者の関心をひきつけておく必要があります。冒頭の重要性は、報告はもちろんですが論文においても極めて重要です。

 次は、展開です。冒頭の次に、本日報告したいメインの内容に移ります。その際、本日少なくともこのことだけは言いたい、皆さんに理解して欲しいことを一言に(短く)まとめておくことです。そのうえで、自らが伝えたいことをより分かりやすく、詳しく説明していくことになります。図表等視覚に訴えた方が理解されやすいようでしたら積極的に図表を用います。その他の手法も積極的に用いてよいでしょう。冒頭は時間的に最も多くの時間を割きますので、展開方法に留意する必要があります。論理的な展開が望まれます。

 報告者が伝えたい・理解してほしい一言をより詳しくABCと3つに分けて説明する必要がある場合、平板にABCと説明してはいけません。なぜAの説明をする必要があるのかを冒頭で必ず指摘することです。その上で、Aの議論ではこのようになったので、Aの結論を受けてBについても検討する必要があるとし、Bの議論で解決には複数の可能性があることが解明されたがその中で最も有力な方法であるCを紹介するとしてCの議論に移ります。つまり、ABCそれぞれが論理的につながりがあることを明確にすべきです。これは、導入と展開の関係でも同様でして、ABCの議論につなげるような形での冒頭での報告内容であることが求められます。展開ではほぼ先行研究の考察が主です。

 最後に、整理です。本日のまとめと自分の見解をを簡単に示し、未だ解決されていない問題点や将来克服されるべき点についても指摘するとより好印象なものになることでしょう。しつこいですが、整理においても、導入・展開を受けた形での論理的つながりのあることが重要です。ここは意識しなくとも自然にそうなると思います。

論文執筆と報告

 上記の、導入・展開・整理は、論文で言うと、導入=冒頭の問題提起の箇所、展開=論文の大半を占める先行研究の考察、整理=自分の見解の表明(独自性・オリジナリティの部分)です。以前にも紹介しましたが、独自性・オリジナリティの箇所は決して多くはなく大半は先行研究の考察なのです。ただ、報告でも論文でも、冒頭における自らの問題意識をふまえた上で、先行研究を自分なりに味付けしなおすということが重要で、先行研究の考察をふまえて自分の見解を提示すると説得力が増すのです。

ご参考

 伝統ある研究会や学会での報告の際、事前にレジュメと原稿を作成し当日は原稿を読めと指導されたものです。つまり、それなりのレジュメが完成し少なくとも自分の頭の中でそれなりに完結しているのであれば、原稿が書けます。学会報告における原稿は、喋り言葉で書いている点を除けば、内容的にはほぼ論文と同じレベルです。本日はレジュメ・報告と論文との関係を指摘しましたが、一部でも読者の皆様の役に立つものでしたら幸いです。

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